八嶋智人演じる「花田」。ここでは、シリーズにおける彼の遍歴を見てみたい。
- Episode27『黒岩博士の恐怖』
- 花田が最初に登場したのは、第3シーズン直前のスペシャル版であるこの回だった。この時の設定は「ファミリーレストランのウエイター」。この時には「花田」という役名はまだなく、クレジットも「ウエイター」であった。脚本・三谷の証言によれば、花田の名前は三谷の創作ではなく、本作で八嶋が着ていた衣装のネームプレートに書いてあったものだったそうである。
- Episode31『アリバイの死角』
- 第3シーズンとしてはじめて登場した回。本作での設定は「コーヒーショップの店員」。ここからクレジットにも「花田」と表記されるようになった。
- Episode33『絶対音感殺人事件』
- 第3シーズン２回目の登場。設定は「バーの店員」。
- Episode36『雲の中の死』
- 第3シーズン３回目の登場。設定は「航空機パーサー」。実は、本作の花田は「花田の双子の兄」という設定である。これは、脚本脱稿後に三谷が、飛行機のパーサーには簡単になれないと気づき、急遽、双子の兄ということにしてもらったからである。八嶋もそれを踏まえて、ほかの花田とは微妙に違う演技をしているので、本作を再見の際にはその部分にも注目されると作品をより楽しめるかもしれない。
- Episode38『最後の事件・後編』
- 第3シーズン４回目の登場。設定は「タクシー運転手」。
- Episode39『すべて閣下の仕業』
- スペシャル版。設定は「某国日本大使館の派遣員」。作品の性格上、ここでの花田はいままでの「説明者」としてではなく、「海外旅行中の古畑を外国の大使館で捜査できるようにするための仕掛け」として存在している。
最初は役名もないキャラクターが、正式に役名を与えられ、そして（偶然の結果とはいえ）兄弟ができ、シーズンの最終話を飾り、さらに、スペシャル版では別の重要な役割を与えられることになる。こうして見てみると、なかなかの遍歴である。なお、八嶋智人は第3シーズンの佐藤祐市演出作品すべてに出演しており、これはたまたまなのか、佐藤演出が八嶋智人を気に入っていたのか、興味深いところではある。
