『古畑任三郎』の中でも優秀な刑事の一人、芳賀刑事（白井晃）。彼は作品内でどのような役割を担っていたのか。ここでは、それについて考察してみたい。
今泉、西園寺と並んでシリーズの準レギュラーと認識されている芳賀刑事だが、実は、登場回数は意外にも少ない。初登場は第2シーズンEpisode14『しゃべりすぎた男』であるが、シーズンにはその後Episode17『赤か、青か』にしか登場していない。その後は、総集編『消えた古畑任三郎』と、スペシャル版『黒岩博士の恐怖』の冒頭に登場するのみなのである。
芳賀の役割は大きく分けて2つあげられる。ひとつは、第2シーズンの初回『しゃべりすぎた男』において「古畑が"特殊な"刑事であることを視聴者にわかりやすく示す」という役割である。そのため、芳賀はいかにも「刑事ドラマ」に登場するような"普通の"刑事として描かれているのである。
もうひとつの役割は、シーズンで芳賀が登場した2作『しゃべりすぎた男』と『赤か、青か』の共通点を考えるとわかる。この2作の共通点は「今泉が身動きがとれない状況になる」という点である。すなわち、芳賀は、身動きのとれない今泉に代わって「ワトスン役」を担当するという役割を果たしていたのである。
芳賀は、その後は総集編を挟んで第3シーズン直前のスペシャル『黒岩博士の恐怖』の冒頭に西園寺とともに登場し、シリーズから"降板"する。つまり、この冒頭のシーンは、芳賀から新たな登場人物である西園寺への「ワトスン役のバトンタッチ」だったのである。
登板回数は少ないものの、芳賀刑事は、シリーズにおける「名リリーフ」だといえるだろう。
