Episode36のコラムでも触れた通り、この作品に登場する「今泉のグレムリン騒ぎ」は、1983年のオムニバス映画『トワイライトゾーン・超次元の体験』の、ジョージ・ミラー監督、ジョン・リスゴー主演のセグメント4（リチャード・マシスン脚本、リチャード・ドナー監督、ウィリアム・シャトナー主演による、ミステリー・ゾーン『2万フィートの戦慄』のリメイク）からの借用である。さすがにあまりにもそのままであるので、劇中では西園寺の口を借りてこの作品名を言わせている。
本作で西村雅彦は、本家のジョン・リスゴーに迫る演技を披露している。実は三谷、既に３年も前に、本作の誕生を思わせる文章を別の場所で書いているのである。それは1996年の舞台『笑の大学』上演パンフレット。以下、一部を引用する。
「私は、西村雅彦は日本のジョン・リスゴーだと思っています。いつか彼のために（中略）ジョン・リスゴーが演じたような役を書くのが私の夢です」
このあと、“近藤芳正の鼻の穴とケヴィン・ベーコン”が続くので（意味の分からない方は、パンフレットの抄録が『オンリー・ミー 私だけを』（幻冬舎文庫刊・ISBN4-87728-442-7）に掲載されているので、一読をお勧めする）はたして三谷の本意がどこまであったかは定かではないが、結果として、この文章が本作の「予告編」となったのである。
