『今泉慎太郎』は、1996年1月10日〜同年3月13日（第2シーズン）、同年3月27日（スペシャル2『しばしのお別れ』）、並びに2004年1月3日（スペシャル5『すべて閣下の仕業』）の深夜に放送された、10分間のミニドラマである。
『今泉慎太郎』は、（一部の回を除いて）舞台は科研室のみ、主たる登場人物も西村雅彦と伊藤俊人の二人だけという、ワンシチュエーション・コメディー形式になっている。これは、Episode12『最後のあいさつ』で急遽撮影された科研のシーンが好評であったためである。
このシリーズの大きな特徴は「その日放映された本編のアフターストーリーになっている」ということである。当時、この手の番組は所謂「番宣番組」とされ、本編の紹介や次回のダイジェストなどを放送するのが常識であった。
ところが、本作ではそれらを一切排除し、しかも当日の本編を見ていないとわからないネタを散りばめた。これは当時としてはかなり大胆な構成であった。もちろん、この構成では、本編『古畑』放送日と同じ日に放送しなければ面白味は半減する。その意味で、この枠を取った石原隆の功績は大きいと言えるだろう。
また、本シリーズの隠れた効果として、今泉の心情をここに集約することによって、本編での古畑と犯人の対決に時間を割くことができ、双方ともに良いバランスを保つことができたことがあげられる。第2シーズンが比較的安定したシーズンになった背景には、『今泉慎太郎』の存在も一役買っていたといってもいいだろう。まさに『古畑任三郎』にとって『今泉慎太郎』は「名ワトスン役」を果たしていたわけである。
